どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

鬼コーチのしごき/day5 幹細胞採取2日目


◆2015年12月9日(水) day5 幹細胞採取2日目(通算4回目)
朝。血液検査でCD34陽性細胞が確認され、採取することに。
まず、寝たきり状態のままベッドに横づけされたストレッチャーに乗り移らねばならない。身体を起こさないように腕と脚を使ってなんとか横移動する。
病室を出るとき、今日もUさんが「しっかりね」と言って手を握って見送ってくれた。まるで大手術に向かう患者の家族みたいだが、少々弱気になっていたわたしにはUさんの存在がすごく心強かった。

IVRセンターでカテーテル(脱血用)を入れてもらう。昨日は右鼠径部、今日は左だ。今日入れるのはシングルルーメンで、昨日より細いらしい。

採取室に行くと、Y先生がやってきて返血用のラインを末梢(腕)から取ってくれると言う。Y先生には以前もやってもらったことがあるが、とても上手だった。看護師さんが数人「だめだ、手を変えます」と言ってはバッタバッタと討ち死にする中、最後に呼ばれたY先生。わたしの腕をスッスッとなでて血管を捉えると、針で狙いを定め、少し垂らした前髪の奥から鋭い眼光を放つ。おお、ハンターの眼だ!そして見事一発でわたしの血管を仕留めたのだった。

「先生、血管ハンターですね」

思わずそう言うと、フフフと不敵に笑うY先生。まんざらでもないらしかった。
そして今回も前腕の外側(昨夕M先生が見当をつけたあたり)に一発でキメてみせた。

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※ 画像はイメージです


この病院の先生は手技がうまい。M先生も相当な腕だと聞いたことはあるが、主治医クラスになると血管を取る機会はなかなかないらしく、わたしも実際にやってもらったことはない。

さて、採取2日目はどうだったかというと。この日もI先生はお昼ご飯抜きで付き添ってくれた。午後2時に終了予定と聞いていたのだが、1時すぎ頃機械(血液成分分離装置)が止まってしまった。技士さんによると脱血異常らしい。採りなおすのかなと思ったら、85%終了していてあと少しなので、今日はここまでとのことだった。ただでさえ採れないのに、途中でストップだなんて残念だ。

病室に戻り、鼠径部のカテーテルを抜去。今日はちゃんと30分で止血完了。さらに尿カテーテルも抜いてもらう。輸液の点滴棒はまだ外れないが、やっと歩いてOKになったので、溜まった洗濯ものを洗おうと洗濯室へ。洗濯機を回していると、なんとM先生とY先生がやってきた。どうやらわたしが病室にいないので、Uさんから聞いてわざわざ探して来てくれたらしい。

「本日の取れ高は0.4でした」とM先生。
あれ?意外と採れたんだな、脱血異常で途中で終わったのに。十分な量ではないが、これまでの合計は1.36。なんとかギリギリ移植に持ち込めるのではないだろうか?
しかし、M先生は決然とわたしに言い渡した。

・幹細胞は少ない量を合わせると目減りする
 →袋に残る分があるからだろうか?

・明日、今日以上採れなければ移植はできない。採取も中止

ひぇぇ、要求厳しい!さらに鬼コーチは詰め寄ってきた。

「それでも明日やりますか?」

かわいそうな子豚ちゃんはコクコクと頷いて
「やりますやります」と答えた。ここで止めるなんて選択肢があるわけない。
M先生は「困った患者さんだなぁ」と言わんばかりに眉間にしわを寄せたが、その実、なんだかうれしそうに見えた。というか、M先生もY先生もなんとなく昨日より表情が明るく見えたのだが、気のせいだろうか。

洗濯室ミーティングが終わって病室に戻ると、Uさんが
「今日は採れたんじゃないの?先生たち、顔が明るかったよね?」
と言う。Uさんも同じように感じたらしかった。

そんなわけで、明日も採取にチャレンジすることになった。まさに首の皮一枚である。明日なんとか0.4以上採れますように。なにとぞ、なにとぞ!

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