◆2015年10月29日(木) 4コース/day17
熱はまだ続いているが、普通食に戻してもらったおかげで食事は食べられるようになった。血糖値はもうすっかり落ち着いていたが、主食は半分にし、おかずは完食。やはり、ちゃんと栄養をとっていると元気だ。解熱剤が効いている間は、起きて普通の生活ができる。
◆2015年10月30日(金) 4コース/day18
昨日夕方38.1℃出たが、それ以来熱が上がらない。いつも熱発するときはゾクゾクと寒気が来て、布団をかぶってブルブル震えていると、急に顔が熱くなって熱が上がるのがパターンなのだが、この日の夜は寒気のあと顔が熱くなりそうでならず、結局熱は上がらず。このときわたしの中で闘っていたものがついに勝利したのがわかった。
まぁ、3日前まで入れていたG-CSF注が切れて副反応が無くなったのだろう。もう大丈夫だ。感染症に関してはサイトメガロウイルスが陽性とのことで、デノシンが追加になっている。抗菌剤の点滴はまだしばらく続くだろう。
わたしが熱で苦しんだG-CSF製剤の副反応のメカニズムについては2017年に神戸大学が解明している。
(※この情報は造血幹細胞移植支援のための総合プロジェクトStart to Beをフォローしていて入手した)
詳細は上記神戸大学のサイトをご参照いただきたいが、大まかにいうとG-CSFによる不快な症状(副反応)は、交感神経刺激を受けた好中球によるPGE2の産生が原因で、それが末梢血幹細胞動員の妨げのひとつになっているとのこと。このメカニズムが解明されたことで、G-CSFによる不快な症状への正しい対処方法がわかり、わたしのようなプア・モビライザーを予測できる可能性がでてきたとのこと。
造血幹細胞動員促進薬モゾビル(プレリキサフォル)も2016年に日本で承認されたし、わたしが幹細胞採取した2015年はギリギリ厳しい年だったのだ。血液系の病気に関する薬や治療が日進月歩であることをつくづく実感する。
◆2015年10月30日(金) 4コース/day18
この日、ちょっとした事件が起きた。
新入りのAさんは固形がんの患者さんだが、あまりよろしくないタイプのがんらしく、元主治医にひどい暴言を吐かれてショックを受けたという。あまりにも辛くて主治医を変えてもらったという話を入院直後から看護師さん、薬剤師さん、事務の人らに話しまくっていた。わたしも話を聞いた一人だが、そのあまりにも酷い暴言が事実であるならば、腹立たしく気の毒なことだと思った。
その夜、消灯直前のことだ。わたしの向かいのベッドのBさんが何やら小さなメモをこっそり渡してきた。メモにはこう書かれていた。
おお、なんだなんだ。
おばちゃんワクワクしちゃうじゃないか!(こらこら)
AさんとBさんは同じがんで同じ科にかかっており、Aさんの問題の元主治医もBさんはよく知っているようだ。Bさんは知っている医師の悪口を一日中聞かされて黙っていられなかったのだろう。
しかし、Aさんは自分語りは多いものの嘘をつくような人には見えず、医師の発言にショックを受けたのは事実のようだ。やや大げさに吹聴しているような気もするし、報復めいてはいるかもしれないが。
真相は闇の中だが、ただ言えるのは同じ医師でも患者によって評価が二分することがある、ということだ。その医師が患者によって態度を大きく変えているのか、それとも患者の受け取り方に問題があるのか。前者なら主治医変更もしくは転院もやむなしだが、後者ならば患者側になんらかのコミュニケーションのサポートが必要なのかもしれない。
しかし、入院が長いといろんなことに出くわすなぁ、と感慨深い出来事であった。
◆2015年10月31日(土) 4コース/day19
みかんをたくさんくれてたUさんが一時退院して、後にリンパ腫患者のNさんが入ってきた。主治医の先生は?と尋ねると、なんとM先生だと言う。同じ主治医の患者さんと同室になったのは初めてだ。
「すごくいい先生よ。看護師さんたちもしっかりしてて安心だし。リラックスして治療受けたらいいですよ」と古株ぶって話したら、喜んでくれた。Nさんも外来でのM先生のていねいな説明に感銘を受けたとのことだった。
バリキャリのNさんは年齢はわたしよりだいぶ下だが、人好きのする笑顔ときちんとした物腰で好印象。NさんはMCLではないが、やはり強い治療が必要とのことで、数日後に無菌室に移っていった。治療、うまく進むと良いな。