どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

3. おれは白鳥(夫のこと)

 

話は逸れるが、夫とわたしは趣味の釣りが縁で知り合い、17年前に結婚した。

子供には恵まれなかったが、趣味が同じなのでケンカのネタもなく仲良くやってきたといえるだろう。

 

夫はなかなか豪快な人で、海上を走る遊漁船のミヨシ(前方)に仁王立ちして、船頭さんがたまたま見つけたメカジキに銛を撃って命中させたことがある。

週末、休日はほぼ海の上にいるので色黒。というか赤銅色。とても普通の会社員には見えない風貌だ。結婚してもきっとやりたい放題で家庭を顧みず、奥さんはさぞ苦労するだろうなぁ。と、結婚前は他人事のように考えていた。
しかし、実際結婚してみたら夫は家庭人としては結構まともだった。真面目に働くし、浪費はしない。気はやさしくて力持ち。器用だし、愛嬌もある。

結婚数年後。こんなに順調に結婚生活が送れるとは意外だったよ、と言うと、夫は
「おれは白鳥。優雅に見えても水面下では必死で水を掻いている」
と真顔でいう。ほんとは努力してるんだぜ、ということらしい。

 

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※ イメージ画像です

 

さて、「リンパ腫の疑い」と告知された日。
家に帰り、いつも通りに夕食の支度をし、夫の帰りを待った。あえて、メールや電話では何も伝えなかった。しかし、ここ数日の腹痛は夫も知っていたので、帰宅するなり病院に行ったよ、と切り出す。

「脾臓が腫れてて、悪性リンパ腫の疑いがあるんだって」
夫は黙って聞いていた。わたしが一通り話し終えると、
「そう、です、か」
と言ったきり、動揺するそぶりも見せない。
その後はいつも通りに風呂に入り、夕食を食べ、テレビを見たりネットやったりいつもとなんら変わらぬ時間を過ごして就寝。

翌日の土曜、わたしは勤務日だった。翌週は検査や診察があるので当分仕事は休むことになったが、腹痛も収まったので、とにかくその日は仕事に出かけた。
昼食をとるため事務所に戻ると、珍しく釣りに行かなかった夫からメールが。
「熱が出たので病院行ったら、大腸炎だって」
39℃を超す熱が出てお腹も壊して寝ているという。あちゃー。

とにかく仕事を終わらせ、夕方、薬局でOS1やポカリ、次亜塩素酸ナトリウムのスプレー(消毒用)など買い込んで帰宅する。夫はベッドでうんうん唸っていた。とにかく水分補給させて様子を見るが、あまりトイレに通う様子もなく、落ち着いている。熱はあるけど、ほんとに大腸炎かなぁ。

というのも、これまでにもわたしに何かあると、夫はたいてい一緒に体調を崩してしまうのだ。昨夜は冷静に話を聞いていたけど、昨日の今日だもの。やっぱり相当ショックだったのでは。そう思うと、申し訳なさでいっぱいになる。

幸い夫は月曜一日休んだだけでほぼ回復。週末にはすっかり元通りになっていた。
以来、わたしの病気に関して動揺することはまったくなく、極めて冷静に対応してくれている。

夫は、必死で水面下で水を掻いているのだ――。

 

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