どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

2. 運命の治療法

 

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Kがん病院の初診から、また検査と診察の日々が始まった。

 ・7/ 2(初診日)CT

・7/ 7 胃内視鏡

・7/ 9 骨髄穿刺、心臓超音波

・7/10 PET/CT

・7/15 再診

・7/16 大腸内視鏡

 

 家からKがん病院までは電車で1時間半ほどかかる。何度も通うのは骨が折れそうなものだが、この時点でなんの自覚症状もなく、体調良好なわたしは通院を楽しんでいた。

というのも、病院の近くに市場があり、検査の後は散策・買い物ができるのだ。市場の近くには、これまた以前から行きたかった鶏肉専門店「宮川食鳥鶏卵」があった。博多出身で、肉といえば「かしわ」で育ったわたしは、保冷袋に保冷剤を詰めて病院へ行き、検査後にこの店で鶏肉を2kgほど買って抱えて帰った。

こんな深刻な場面でわたしは何をしておるのか。自分でもあきれたが、鶏肉はたいそう美味しかった。

 

 7月15日(水)。M先生再診。

この日は本当にMCLかどうかの診断がつくことになっていた。いわゆるインフォームド・コンセントなので、夫にも同行してもらった。

M先生はきっぱりといった。「マントル細胞リンパ腫で間違いありません」

やっぱりね…。MCLは胃や大腸などの消化管に浸潤することが多いらしく、わたしの場合も胃にいくつか病変が見られたとのこと。
先生はこの病気が難治性で、わたしの場合年齢的(65歳以下)に強い抗がん剤治療が適応であるという。標準治療はないが標準 治療としてR-Hi-CHOPアールハイチョップ+CHASERチェイサーという寛解導入療法を行い、効果が認められればさらに大量化学療法LEEDリードと自家造血幹細胞移植を行う、という。入院期間は通算半年くらい。

話を聞きながら、わたしはあっ!と思った。ちょうど数日前に日経メディカルで読んだ記事を思い出したのだ。

 

 未治療の若年MCL患者にR-High-CHOP/CHASER/LEED療法と自家末梢血幹細胞移植が標準治療の選択肢となる可能性

 この記事に

この療法によって持続的な無増悪生存期間と全生存期間が得られることが、フェーズ2試験(JCOG0406)から示され、標準治療の選択肢となると考えられる

とある。5年無増悪生存率は52%、5年全生存率は71%。一般的に5年生存率30%未満といといわれるMCLとしては、かなり良い成績ではないか。そう思ってこの記事にブックマークをつけていたのだった。
なんだかドラマを感じる。この場で「その療法、知っています」などというと小賢しいので黙っていたが、内心ワクワクしていた。この治療法がきっと救ってくれる。そんな予感がした。

 

わたしはこの日も用意していた質問をM先生にぶつけた。内容はかなり絞ってはいたが、はっきり言って質問攻めだ。「ほんとによく調べてますね」と先生は感心したような、あきれたような顔でいう。夫は、もーすみませんこんなで、と恥ずかしそうだ。質疑応答が終わると、先生は前のめりになって

「では、すぐに入院して治療しましょう。今週末17日の入院でいかがですか?」

ちょちょ、ちょっと待ってください、と慌てるわたし。入院になる予想はしていたのに、いざとなるとビビってしまい、「さすがに半年もの入院をするのに2日で準備は厳しいです」と抗うと「どうして?病気がわかったのだから、すぐ治療しましょう」と、なんだか先生は焦っているように見えた。せめて月末、とお願いすると、では来週23日でいいですね、と容赦ない。まるで大阪商人の値引き交渉みたいなやりとりで入院日が決定した。

 

 

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