どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

3. 大腸内視鏡検査

 

家に帰ったわたしは、日経メディカルの記事と、JCOGジェイコグ(日本臨床腫瘍研究グループ) のサイトからJCOG0406の実施計画書をプリントアウトした。これには大まかなレジメン(薬剤の種類や量・期間・手順など)も載っており、自分がどんな治療を受けるのか把握することができた。この二つのプリントは入院中ずっとわたしのお守り代わりになった。

 

それにしても、なぜ、M先生はあんなに焦っていたのか。理由は翌日明らかになった。

 

7月16日(木)。大腸内視鏡検査。

前日は検査食を食べ、当日下剤でおなかを空っぽにして内視鏡検査室へ向かう。この病院には内視鏡科専属の専門医がたくさんいて、主治医のオーダーに従って検査してくれる。この日わたしの担当をしてくれたのは、とても物腰のやわらかい男性医師だった。

大腸に入れたカメラの映像は、わたしの目の前にあるモニターに映し出される。腫瘍らしきものがあると組織を採取する。大腸にいくつかそれらしいものが見つかった。さらに、大腸と小腸のつなぎ目(回盲部)は灰色に変色して見えた。「これは病変ですね」と医師。さらに「M先生からのオーダーで小腸の入り口も視るように言われています」といってカメラを進めた。

 

「うわぁ!」

わたしは思わず声を上げた。モニターに映し出されたのは、小腸の壁を埋め尽くす無数のポリープだった。隙間なく一面に広がっている。

「これって病変ですか」一応尋ねると「そうですね。病変ですね」検査室の闇の中で医師の声は厳かに、まるで御託宣のように聞こえる。こりゃ大変だ。M先生が治療を急ぐのも無理はない。

普通、大腸内視鏡で小腸を視ることはあまりないらしい。カメラが届かないからだ。それでも入り口を視るようにとオーダーが出されていたのは、そこに腫瘍があるとM先生には予測がついていたからだろう。

 

MCLは本来は月単位で進行する中悪性度だが、なかにはindolent MCLといってゆっくり進行するタイプがあるという。

日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドラインのMCLの項にこんな記述がある。

臨床的には限局期のほか,節外病変主体・脾腫・白血化など脾辺縁帯リンパ腫類似病態を呈する例は一般にindolent な経過を呈し,比較的長期間の無治療経過観察が可能である。

わたしも脾腫で、地元の病院では脾辺縁帯リンパ腫ではないか、といわれていた。あまりにも自覚症状がないこともあり、わたしもindolent MCLなのではないか?と思っていたのだ。

しかし、8ヶ月前に胃カメラをしたときには何もなかったし、大腸内視鏡も大腸にポリープがひとつ見つかっただけだった。あれから8ヶ月、脾臓を摘出してから2カ月でこんな状態になったのなら―― しかもあの小腸の入り口の映像。どう考えてもindolentではなさそうだ。

これはもう肚をくくるしかない。入院してしっかり抗がん剤治療を受けなければ。

 

 

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