どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

2. Kがん病院 入院

 

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2015年7月23日(木)。Kがん病院に入院。夫と姉が付き添ってくれた。

手続きが終わり、病棟へ。治療が始まったら無菌室(個室)とのことだったが、とりあえずこの日は4人部屋へ案内された。看護師さんに採血、副担当医のO先生に全身状態のチェックをしてもらう。

驚いたのは、医療スタッフ全員が「よくお調べだそうですね」「お詳しいそうですね」と笑顔で声をかけてくることだ。主治医のM先生からの情報だろう。患者が病気について知ろうとすることに対して医療スタッフが好意的なのは、わたしにとって何よりありがたい。

 

4人部屋の他の患者さんは全員穏やかで話しやすい人たちだった。たまたま魚好きな人が揃っていたので、魚談義で楽しく過ごす。
隣のベッドのKさんはリンパ腫の再発組とのことで、このときは元気そうだったが、2か月後に病院で会ったときは杖をついていた。Aさんも血液系の病気で、歩行ができなくなって放射線治療のために入院していた。みんな病状はそれぞれで厳しいものを抱えていたが、ちっとも悲観していなかった。大部屋も良いものだ。

 

翌朝、早速無菌室が空いたので「もう移っちゃいましょう」ということで、同室の方々に挨拶して部屋移動となった。

無菌室のドアを開けて驚いた。広い。そして大きな窓からは抜群の眺め。隅田川にレインボーブリッジまで見える。トイレもシャワーもあり、収納もたっぷり。まるで高級ホテルではないか。しかも個室なのに差額ベッド代なし。治療上必要な環境だからだ。溺れかけてワラにもすがる思いでいたところ、たまたま通りかかった豪華客船に拾われて歓待された、みたいな感じか。

 

「強い治療をするので、白血球が0近くまで減ります。いろんな感染症の可能性があるので、無菌室での治療になります。ただ、もっと病状の深刻な患者さんが入院した場合は大部屋に移ってもらうこともあります」と、入院時に主治医から説明を受けていた。無菌室には空調があり、特殊なエアフィルターで埃などを除去している。壁も特殊な壁紙(防塵クロス?)が使われている。それだけ大変な治療を受けるのだ。高級ホテルみたい、などと浮かれている場合ではないのだ。

ないのだが… しかし、ウキウキ気分は止められない。荷物の移動が済んで一人になると、iPhoneからオープンエアで音楽を流してみる。ボリュームを絞っても広い部屋ではエコーが効いて良い音に聴こえる。誰もいないからテレビも音楽もイヤフォンを使わなくて良いのだ。大きな音さえ出さなければ。

 

午後、夫がやってきた。無菌室に入ってくるなり「なんじゃこりゃー!」と驚いている。窓から景色を見ながら「あんた、悪い病気には罹ったけど、こんな環境で闘病できるなんて運がいいね」としみじみ言う。わたしもまったく同感だった。

 

夕方、主治医と副担当医から治療の詳しい説明があった。この日は金曜日で翌日・翌々日は治療がないので外泊(帰宅)しても良い、とのこと。ただし治療が始まったら次はいつ外泊できるかわからない。

 

わたしは治療に入る前にどうしても手に入れたいものがあった。病院を出ると、夫と大型家電量販店へ向かった。

 

 

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