金曜夕方一時帰宅となり、夫と大型量販店へ。買ったのはノートPCだ。あのすばらしい環境に唯一足りないものはPCだけ。用途は医療サイトで調べものをしたり、ニュースを見たりなので、高スペックなものはいらない。タブレットでも良いか、と思ったが、細かい調べものをするときにはやはりキーボードが欲しい。体調が悪くて横になってるときにはiPhoneがあるし。
というわけで、アジア系メーカーの格安ノートPCをポケットWi-Fiとセットでゲットした(現在院内はフリーWi-Fiになっているが、当時はまだポケットWi-Fiが必要だった)。家に帰り、メーラーの設定などは技術系の夫が頼まなくても全部やってくれた。
日曜夕方病院に戻り、病室にPCを持ち込んだら、家とほとんど同じ環境が整った。ついでに当時開設したばかりのApple Musicも契約した。
そうだ。PCと音楽と携帯があれば、なにも困ることはないのだ。
窓際にサイドデスクを置き、ベッドに腰かけて窓の景色を背景にPCを開く。iPhoneからオープンエアで好きな音楽を流す。あれ、なんだろうこのワクワク感。もうすぐ抗がん剤治療が始まるというのに、ストレスがまったくない。トイレシャワー洗面つきの個室でネット三昧。時間になれば食事は届くし、退屈しない間隔でドクターや看護師さん、薬剤師さんなどが訪れてくれる。こんな明るい引きこもり生活があって良いのか。
しかし、浮かれてばかりもいられない。治療が始まり、白血球が0に近くなれば外出はできないし、高齢の義父や実家の母に何かあっても、駆けつけて看病するわけにもいかない。夫が風邪をひいて熱を出しても何もできない。
窓の景色を見ながら、わたしは思った。
申し訳ないが、これから治療が終わるまでの間、わたしはすべてに治療を優先させよう。そのためにここにいるのだから。
夫、義父、母、姉一家や義弟一家、わたしの闘病中は元気でいてもらうしかない。
みんな、よろしくね!