治療を成功させるためには何が必要か。自分にできることは何か。
窓の外にひろがる景色を眺め、お気に入りの音楽を聴き、心底リラックスしつつ考えた。
まず、自分の病気を知ること。「知らない、わからない、こわい」は一番の敵だ。
つぎに、治療や検査を嫌がったり不安がったりしないこと。
どんなことにもリスクはあるが、調べたり、ドクターに聞いたりして理屈がわかれば、むやみに不安がることもないだろう。
そして、もっとも大事なのは、治療に専念することだ。
長期にわたる入院生活。いろいろ考えたが、お見舞いは夫と姉夫婦のみとさせてもらうことにした。白血球が0に近くなるような強い抗がん剤を使う無菌室での治療で、感染症のおそれがあるから。というのは実は名目で、
- どんな副作用が出るかわからない
→具合が極端に悪いときに人に会いたくない
- 治療をすべてに優先したい
→人が来ると思うと治療がおろそかになる、リラックスできない
- 元気で活躍している人と物理的な距離を置きたい
→刺激を避け、自分のメンタルをフラットに保つため
などの理由があった。お見舞いを申し出てくれる友人たちには「元気になったら会おう」と伝えた。深く語らずとも友人たちはわたしの真意をくんで、たびたび絶妙な距離感のメールをくれ、心のこもったプレゼントを届けてくれた。
また、わたしのまわりには幸い「ああしろ、こうしろ」と支配的なことをいう人は誰もおらず、これは大変ありがたいことだった。
と、わたしが後日(退院後)友人に語ったところ、その友人は呆れたようにこう言った。
「だって、どうせ言っても聞かんやろ」
お見舞いで元気になる人もいるし、わたしのようにお見舞いはお断りしたほうが良い人もいる。闘病スタイルは人それぞれだ。自分の闘病環境は、可能な限り自分で作るのが望ましいと思う。