1回の表、チーム R-Hi-CHOPの攻撃。
バッター 1番 リツキサン。バッチ来いやー!
リツキサン(一般名:リツキシマブ)は 分子標的薬。B細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を破壊(溶解)することでこれらの細胞の増殖を抑える薬である。
リツキサンはマウス由来成分を含んだ抗体医薬品で、皮膚のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、息苦しさなどのアナフィラキシー症状が出ることがあるらしい。
もうひとつ心配なのが腫瘍崩壊症候群。腫瘍が急速に死滅(崩壊)するときに起きるらしい。尿酸が増える、カリウム・カルシウム・リンなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性になる、尿が減少するなどの異常が出現。頻度は高くはないようだが、起きてしまうと重篤な状態になりやすいとのこと。予防としては、水分を大量に摂ること、尿量の測定や血液検査で早期発見すること。これについては主治医のM先生が「しっかり対策していきます」とのことだった。ま、大丈夫だろう。
投与30分前に抗ヒスタミン剤(ポララミン)と解熱鎮痛剤(カロナール)を飲む。
30分後、デカドロン(一般名:デキサメタゾン)を点滴する。これはステロイドで抗炎症作用、抗アレルギー作用がある。
次にいよいよリツキサンだ。
アナフィラキシー症状は初回投与時に出る可能性が高いので、注入速度は最初は慎重にゆっくり、30分毎に様子を見て少しづつスピードアップしていく。
30分後、副担当医のO先生が「どうですか?」と様子を見に来た。
なんともない。なんともないが、なんとなく喉のあたりがイガイガするような気もする。でも気のせいのような気もする… というようなことを言うと、O先生は
「うん、大丈夫そうだね!」と容赦なく点滴速度を上げた。えぇぇ…
しかし、やはり気のせいだったようだ。30分毎に速度を上げてもとくに何の症状もなく、投与は終了。吐き気もなければだるさもない。まったく普通の状態であることにちょっと感動した。
ただし、リツキさんがヒットを飛ばしたか、それとも凡打に終わったのか。それがわかるのはまだ先のことだ。