どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

荒野の三悪人

 

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2015年7月30日(木)。1コース(R-high-CHOP)のday3。 

朝、プレドニン(経口薬)を20錠を渡される。20錠 !? ずいぶん多いなぁ。とても 小さい薬で、ミントタブレットのフリスクに似た感じだが、かなり苦みがあると看護師さんに説明を受けた。これはちょっと飲み方に工夫が必要だ。

 

プレドニンは副腎皮質ステロイド薬で、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用のほか、この薬自体リンパ系腫瘍細胞の細胞死を誘導する作用があるらしい。飲み薬だけど、結構大事な薬なのだ。
免疫が低下するので、感染に注意が必要。血糖値が上昇するので、測定して上がりすぎていれば一時的にインスリンが必要になる。ムーンフェイス、むくみ、不眠にもなりやすいらしい。

 

 さて、プレドニンの飲み方。まず、ひと口水を飲んで喉を湿らせてから、ふた口目で舌を丸めて口の中に小さい池を作る。プレドニン10個(半分)をつまんで池に入れ、一気に飲み込む。大事なのは舌に直接薬が触れないようにすること。残りの10錠も同じように飲む。苦みはほぼ感じずにすんだ。

 

11時頃。残りの薬剤の投与が始まった。点滴のルートは2つあり、ルート1は昨日始まった輸液(ソルデムA)、ルート2が抗がん剤のオンコビン、ドキソルビシン、エンドキサンだ。

オンコビン静脈内注射(ワンショット)と言って、ルートの途中から注射液を入れる。ほんの数秒~数十秒だ。これは副担当医のO先生がやってくれた。
オンコビンは細胞障害薬で、細胞分裂に重要な微小管の伸長を阻害してがん細胞の増殖を抑える。副作用は末梢神経障害(しびれ)、脱毛、下肢深部反射(膝のお皿の下をハンマーで叩いたら脚が勝手に跳ねるやつ)の減弱など。

 

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 吐き気止めのグラニセトロンを入れ(15分)、次はドキソルビシン。強烈に赤い薬だ。見た目毒々しいことこの上ない。点滴後、尿が赤くなるのでびっくりしないでね、と説明を受けた。作用はDNAの結合を切断し、再結合反応を阻害する。リンパ腫の併用療法の軸となる薬だそうだ。そう聞くと赤い色も頼もしく見えてくる。
しかし副作用もなかなか強烈だ。心毒性、肝毒性、血液毒性、肺毒性。吐き気、脱毛など。投与時間は30分。

 最後はエンドキサン。この薬はアルキル化薬といって、腫瘍細胞のDNAに結合し、複製や転写を阻害する。副作用は血液毒性、肺毒性、脱毛、消化器症状(吐き気など)。また、アルキル化薬は急性骨髄性白血病や固形がんなどの発症リスクもあるようだ。まぁ、リスクはあっても今この治療をしなければ先はないので、検討の余地なしである。投与時間2時間30分。

こうして薬剤を調べてみると、抗がん剤はDNAの複製や転写を阻害したり、がん細胞の増殖を抑えたりする薬なのだということがわかる。今日入れた薬たちが無限に増殖しようとするがん細胞をおさえ込む。そんな画を頭の中でイメージする。悪人あつかいしてごめんね。

さて。ドキソルビシンを入れているときに気づいたのだが、左手の薬指と小指にしびれがある。オンコビンを入れて30分しか経っていないのだが…。
O先生に伝えると「オンコビンの副作用にしては早すぎる。もしかして首の  頚椎椎間板に狭窄があるのかも。今度MRIを撮ってみましょう」とのことだった。
しびれの薬はサインバルタ、メチコバール、リリカ、ビタミンBなど色々あるが、必ず効くとも限らず。今飲まずに後になってからでは効き目が悪いのかというと、そんなことはないらしい。とりあえずここは様子見、ということになった。

そのあとよーく考えたら、たしかに以前腕が上がらなくなったときに整形外科で「これは五十肩ではなく頸椎でしょう」と言われたことがある。しびれはその影響かもしれない。まぁ、しびれといってもPCのキーボードは叩けるし、食事をするときにも影響なし。

抗がん剤が終わり、吐き気がいつ来るか、いつ来るかと構えていたが、なにも来ない。結局吐き気は来なかった。ただ、気分的にその日の夕食はカットして、プリン1個だけにしておいた。

夜、様子を見に来たO先生が「プレドニンの副作用で不眠ぎみになるかも」と言う。そして「眠剤出してもいいけど、眠れなくてもやることたくさんありそうだもんね」と言ってニヤリと笑った。なんだか夜遊びにお墨付きがもらえた中坊のような気分だが、調子に乗って夜中にネットなんかやったらさすがにマズいだろう。消灯後は大人しく横になった。

 

 

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