どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

東京湾花火

 

2015年8/8(土)。1コース(R-high-CHOP)のday12。
白血球減少期のため、day8 にG-CSF注再開、以来毎日投与されている。day11に白血球が1,000/μl になったので、そろそろ感染症に要注意だ。

週のはじめ、その日担当の看護師K野さんが
「今週の土曜日、東京湾花火があるのご存知ですか?この部屋からバッチリ見えますよ」と言う。K野さんは仕事が丁寧確実かつ速いデキるナースである。しかも美人。
「エアコンの効いたお部屋で、ゆっくり花火をお楽しみください」素敵な笑顔でそう言い残して部屋を出るK野さんの背中を見送りつつ、まるでコンシェルジュつきの高級ホテルだなぁ、とウットリする。

東京湾花火は正式には東京湾大華火祭(とうきょうわんだいはなびさい)という。約12,000発の花火を打ち上げる、東京の代表的な花火大会。夏の風物詩だ。

当日夕、夫も花火見物にやってきた。院内のコンビニでフライドポテトやサンドイッチなど買いこんで(残念ながら、わたしは白血球減少期なので食べられないが)すっかりお祭り気分である。窓際に座り、部屋の電気を消して準備万端。

18:50、まだ日の残る空に花火が上がりだした。次第に暗くなる空、隅田川の水面に花火の明かりが映り込んで美しい。この部屋は本当に特等席だ。

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※ iPhoneのカメラでズーム撮影しています

 
さすが、お江戸の花火は派手である。院内から観る花火には音がないが、クライマックスは凄かった。これでもか、これでもかと美しい大輪の華が次々と打ち上がり、どんどんこちらに迫ってくるようで、吸い込まれそうなほどだった。

院内にはたくさんの患者がいる。みんながん患者だ。
来年の桜は見られるだろうか、次のクリスマスは、東京オリンピックは。
この花火も自分の余命と照らし合わせながら見ている人が少なくないはず。
かく言うわたしだって、治療がうまくいかなければ。悪い感染症に罹ってしまったら。来年の今頃はどうなっているかわからない。

しかし、病気にならなければ、この病院に入院することも、この部屋から優雅に花火見物をすることもなかった。花火がこんなに美しいと思うこともなかっただろう。
健康が一番なのは確かだけど、病気になると悪いことばかりでもない。むしろ、人生が味わい深くなったと思うときもある。
まだまだ治療は始まったばかり。いろんなことがあるだろうけど、闘病も人生の一部だ。わたしらしい闘病をしようじゃないか。

東京湾花火は東京オリンピック選手村整備のため、この回をもって当面休止となった。そしてこの夜、ついにわたしは熱発した。


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