どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記

2015年3月。脾臓の腫れから発覚した悪性リンパ腫。脾臓摘出・生検の結果、判明した病型はとりわけ手ごわいといわれ、 標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。 自覚症状のなさと医師のシビアすぎる診断とのギャップに頭の中はチンプンカンプン。いったい全体わたしの身体どうなってんの? MCLと闘う50代オバさんの記録です。

 

肉まんとカツカレー


二日目の幹細胞採取が終わった夕方。同室のTさんが
「ねぇ、美味しい肉まんがあるんだけど」と言う。

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Tさんはリンパ腫の患者さんで、わたしより一回り以上歳上。家政婦さんがいるようなイイトコの奥様なのだが、まったく気取りのない最高に楽しい人だ。強い抗がん剤をドカドカ入れる日、院内コンビニでファミからを買ってきて食べたという伝説の猛者である。もちろん、悪心などまったくなしで元気そのものだった。

で、話を戻して肉まん。Tさんはグルメさんで病院食が苦手。味覚障害ならぬ「病院食障害」らしい。で、ご家族が毎日銀座で美味しそうなものを調達して届けていた。しかし、量が多くて食べきれないので、食欲旺盛なわたしにおすそ分けがまわってくるというわけだ。見るからに高級そうなその肉まんは銀座の名店「維新號」のもので、すでにTさんがレンジでほかほかに温めてくれていた。美味しそう!

「わーい!いただきますッ」

と、その時である。M先生とT先生が入室、今まさに肉まんにかぶりつこうとしているわたしと目が合った。
M先生とT先生は爆笑。T先生は笑いすぎて身体が二つ折りになっている。わたしは観念して、ほかほかの肉まんを皿に戻した。

聞けば先生方は「今日の採取量が判ったから、S口さんに教えてあげよう」と急いで来てくれたそうだ。今朝の様子から、わたしが思い詰めていると心配されたのかもしれない。それなのに、肉まん…。笑いが治まったところで、
「とにかく2日間無事に採取ができたことは良かった。お疲れさま」とM先生。
「今日はCD34陽性細胞が昨日の倍あって、少し多めに採れました。昨日が0.3、今日が0.5です」合わせて0.8か…。本当は移植には『2』が必要。少ない量での移植が可能だとしても『1』以上は必要なので、やはり足りない。M先生は
「来週の月曜、CD34陽性細胞を測定します。もし爆発的に増えていれば採取する可能性もありますが、目的は次クールでの採取のタイミングを見るためです」つまり、ここで終わりではない、ということだ。
「次の4コースでも採取しようと考えています。少しづつ貯めて、合わせて移植に持ち込もう、と」M先生もT先生も笑顔だ。やった、移植断念はまぬがれた。わたしの希望が聞き入れてもらえたんだ。ありがとうございます!

わたしは退室する先生方にお礼を言って見送ると、再びご馳走に向かった。少し冷めてしまったが、最高に美味しい肉まんだった。

◆2015年10月4日(日)3コース/day18
この日、また銀座でご飯をもくろんでいた。すんなり許可ももらっていたのだが、前日夕方になって熱発。高熱ではないし、具合も悪くない。原因は昨日まで打っていたG-CSFの影響で白血球が高いからかも、とのこと。しかし、念のため外出は取りやめ、院内のレストランで夫となにか美味しいものを食べようということになった。

食後、病室に戻ると、看護師のOさんが体温、血圧を確認に来た。
「上で何を召し上がったんですか?」と笑顔で訊くOさんに
「カツカレーです!」と元気よく答えた。

事件が起きたのは翌朝である。
回診が終わり、先生方がゾロゾロと去っていかれたのに、またしてもT先生だけが後退してわたしのベッド脇に。そして小さい声で
「カツカレー食べたんだって?」
そう言って横顔のまま笑うT先生。なんで知ってるんだ。
「記録に書いてあったもん」って。そ、そんなことまで情報共有しなくても…


しかし、話はそこで終わらなかった。
2、3日後の担当看護師のS田さんが

「こないだカツ丼食べたそうですね」

カツ丼は食べてないyo!

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