週明け。月曜のイケメン回診で、K先生は「うーん、まだ炎症の値が高いね。退院の判断は当日(明日)の朝だね。抗生剤も明日の朝まで入れましょう」という。でも、後ろの方にいる他の先生たちが「なんか元気になってるよね」とヒソヒソ話しているのが聞こえた。ほんの数日前「感染症じゃないんですか」と大騒ぎしたからなぁ。お恥ずかしい。この様子なら、たぶん予定通り明日退院だろう。
19日(火)朝。病室をすべて片づけ、荷造りを済ませて回診を待つ。イケメン集団がやってきて、うしろの方の先生たちが「あっ、もう片付けてる」とクスクス笑っている。K先生は「まだ炎症の値が高いけど、おそらくこれはリンパ腫から来ているものだろうと判断します。なので、今日予定通り退院です」と。やったぁ。
喜びを噛み殺しながら「少し質問したいことがあるのですが」というと、K先生は「では、回診の後でまた戻ってきますね」といって去っていった。
小1時間後、K先生が戻ってきたので、メモしていたことを質問する。
――傷の確認などの診察は?
「今後は外科の診察はなし。傷が膿んだり痛みが出たら、外来に来てください」
――退院後気を付けることは?
「脾臓を摘ったので血小板の値が高いけど、続きは血液内科で診てもらってください」
――腹帯やドレーンの創に張ったフィルムはいつ外したら良いか?
「帰宅後いつでも外して良いですよ」
――車の運転はしても良いか?
「良いけれど、気をつけて」
質問しながらK先生を見ると、これまでのキリッした感じではなく、初対面のときに受けた印象そのままの、やさしい顔だった。きっとホッとしているんだろうな。これが本来のK先生なのかもしれない。
深々とお辞儀して礼を言い、先生がゆっくり去っていく後姿を見送った。
K先生、ありがとうございました。